理論株価より割安なときに買うと成績はよいか
業種の平均的なPERと、その会社の1株あたり純資産・ROEから計算した「理論株価」より安く買えたか高く買えたかで、成績を比べました。全体では割安の方がよい結果でしたが、前半と後半ではそろいませんでした。
調べたこと
理論株価は、業種の平均PER×1株あたり純資産(BPS)×自己資本利益率(ROE)で計算しました。買った日の時点で公表されていた決算の数字だけを使い、後から分かった数字を使わないようにしています。
高値ブレイクと押し目買いの取引を、「理論株価より上で買った(割高)」と「下で買った(割安)」に分けて比べました。
用語の説明
この記事に出てくる言葉を説明します。
- PER:株価が1株あたり利益の何倍かを表す数字です。ここでは業種ごとの平均を使っています
- BPS(1株あたり純資産):会社の純資産を株数で割った数字です
- ROE(自己資本利益率):純資産に対して、どれだけ利益を出しているかを表す数字です
- 理論株価:ここでは「業種の平均PER×BPS×ROE」で計算した値段のことです
- 上昇余地:理論株価÷買値−1で計算した数字です。プラスなら理論株価より安く買えた(割安)ことを表します
- 決算の公表:決算期末から60日たったものを「公表済み」とみなしています
全体の結果
1回あたりの平均損益(コスト控除後)です。
- 高値ブレイク:割高 +0.56%(3,692回)/割安 +0.89%(2,857回)
- 押し目買い:割高 +0.52%(5,208回)/割安 +0.90%(4,612回)
- 赤字で理論株価を計算できない銘柄:高値ブレイク −0.65%(254回)、押し目買い −0.22%(378回)
上昇余地の区分別の数字
上昇余地をさらに6つに分けた結果です(コスト控除後)。
- 高値ブレイク・−50%未満(大幅に割高):+0.75%
- 高値ブレイク・−50〜−20%:+0.36%
- 高値ブレイク・−20〜0%:+0.54%
- 高値ブレイク・0〜+20%:+0.84%
- 高値ブレイク・+20〜+50%:+1.15%
- 高値ブレイク・+50%以上(大幅に割安):+0.70%
- 押し目買い・−50%未満:+0.73%
- 押し目買い・−50〜−20%:+0.35%
- 押し目買い・−20〜0%:+0.41%
- 押し目買い・0〜+20%:+0.96%
- 押し目買い・+20〜+50%:+0.90%
- 押し目買い・+50%以上:+0.84%
前半と後半ではそろわなかった
ただし高値ブレイクを前半と後半に分けると、前半は割安な区分ほど成績がよかったのに対し、後半はいちばん割高な区分(理論株価の半分未満の価値しかない株)の成績が最もよく、傾向がそろいませんでした。
- 高値ブレイク・前半:大幅に割高 +0.01%/大幅に割安 +1.60%
- 高値ブレイク・後半:大幅に割高 +1.58%/大幅に割安 +0.18%
- 押し目買い・前半:大幅に割高 +0.40%/大幅に割安 +2.15%
- 押し目買い・後半:大幅に割高 +1.11%/大幅に割安 +0.15%
業種PERを厳密に計算できた取引だけで見ると
業種PERのデータは、2025年1月より後の取引だけ、当時の数字で厳密に計算できました。その取引だけで比べても、全体では割安の方が上回っていました(コスト控除後)。
- 高値ブレイク:割高 +0.80%(3,333回)/割安 +1.01%(2,681回)
- 押し目買い:割高 +0.75%(4,509回)/割安 +1.06%(4,234回)
読み取れること
全体の数字だけを見ると「割安なときに買う方がよい」と言えそうですが、期間を分けると逆の結果も出ています。高値ブレイクでも押し目買いでも同じことが起きていました。全体の平均だけで判断せず、期間を分けて確かめることの大切さが分かる例です。一方、赤字の銘柄はどちらの買い方でも成績がマイナスでした。
注意点・この結果から言えないこと
決算データは直近4〜5期分しか取れないため、古い取引の一部は計算できませんでした。また、理論株価の計算方法はひとつの考え方にすぎず、別の計算方法では結果が変わる可能性があります。赤字の銘柄も、前半・後半に分けた数字はないため、傾向として確かめられたわけではありません。
実際に使うときの考え方
短い期間の売買では、割安かどうかより、株価の流れや相場全体の調子の方が影響しやすい可能性があります。割安・割高の目安は、ほかの条件と組み合わせて考える材料のひとつとして扱うのが自然だと考えられます。
※出典:運営者のバックテスト(理論株価に対する買値の位置別の成績)。期間は2024年10月〜2026年9月、往復0.3%の取引コストを差し引いた数字です。この記事は過去のデータで売買ルールを試した結果であり、将来の成績を保証するものではありません。特定の銘柄の売買をすすめるものではなく、投資の判断はご自身の責任で行ってください。