損切りは「−5%固定」と「ATR×2」のどちらがよかったか
同じ買い方で、損切りの決め方だけを変えて成績を比べました。−5%固定、値動きの大きさに合わせるATR×2、25日線を割ったら売る方法の3つを、高値ブレイクと押し目買いの両方で比較します。
比べた3つの損切り
買い方は同じにして、売り方(損切り)だけを変えています。最長60営業日で売る点は共通です。
- −5%固定:買値から5%下がったら売る。上がったら最高終値の5%下まで引き上げる
- ATR×2:値動きの大きさ(ATR)の2倍下がったら売る。値動きの小さい銘柄は浅く、大きい銘柄は深い損切りになる
- ATR×2+25日線割れ:ATR×2に加え、終値が25日線を割ったら翌日に売る(上昇が続く間だけ持つ)
用語の説明
この記事に出てくる言葉を説明します。
- ATR:1日の値動きの大きさの平均です。ATR×2は、その2倍の幅を損切りの幅にする方法です
- 最高終値:買ってから今日までの終値のうち、いちばん高いものです
- R倍数:損益を、最初の損切り幅で割った数字です。損切り幅が5%で損益が+1%なら0.2Rです。損切り幅が違う方法どうしを公平に比べるために使います
- 中央値:損益を順に並べたときの真ん中の売買の損益です
高値ブレイクの場合
1回あたりの平均損益(コスト控除後)は次のとおりでした。
- −5%固定:+0.65%(前半 +0.44%/後半 +0.80%)
- ATR×2:+0.48%(前半 +0.37%/後半 +0.56%)
- ATR×2+25日線割れ:+0.45%(前半 +0.34%/後半 +0.52%)
押し目買いの場合
押し目買い(ATR5%未満)の1回あたりの平均損益(コスト控除後)です。
- −5%固定:+0.66%(前半 +0.70%/後半 +0.63%)
- ATR×2:+0.49%(前半 +0.44%/後半 +0.52%)
- ATR×2+25日線割れ:+0.14%(前半 +0.14%/後半 +0.13%)
勝率・中央値・保有日数・R倍数
平均損益以外の数字も並べます。並びは「−5%固定/ATR×2/ATR×2+25日線割れ」です。
- 高値ブレイクの勝率:39.1%/38.1%/37.5%
- 高値ブレイクの中央値:−1.83%/−1.62%/−1.57%
- 高値ブレイクの保有日数:13.3日/12.1日/11.5日
- 高値ブレイクのR倍数の平均:+0.19/+0.18/+0.17
- 押し目買いの勝率:38.4%/38.7%/34.3%
- 押し目買いの中央値:−1.81%/−1.40%/−0.93%
- 押し目買いの保有日数:14.0日/12.3日/7.9日
- 押し目買いのR倍数の平均:+0.19/+0.21/+0.11
読み取れること
どちらの買い方でも、前半・後半ともに「−5%固定」が最も成績がよい結果でした。一方で、ATR×2 の方が中央値(真ん中の売買の損益)のマイナスは小さく、負けたときの損は浅くなる傾向がありました。
R倍数で比べると、押し目買いではATR×2(+0.21)が−5%固定(+0.19)をわずかに上回っていました。損切り幅の違いをそろえて見ると、差はかなり小さいことになります。
25日線を割ったら売る方法は、保有日数が短くなり、利益を伸ばしきれずに成績が下がっていました。損切りの決め方ひとつで成績が大きく変わることが分かります。
最初のルールでは結果が違った
ルール別の比較では、最初のルール(4つの条件のうち2つ以上で買う)でも同じ比較をしています。こちらは全体ではATR×2の方がよく、コスト控除後で−5%固定が+0.12%、ATR×2が+0.59%でした。
ただし、後半だけを見ると、−5%固定が−0.17%、ATR×2が−0.20%と、どちらもマイナスでした。前半のATR×2(+1.57%)の大きさが全体の数字を押し上げていたことになります。買い方が変わると、合う損切りの方法も変わる可能性があります。
注意点・この結果から言えないこと
件数は損切りの方法によって違います(高値ブレイクでは6,803回/7,155回/7,311回)。早く売る方法ほど、同じ銘柄を再び買える機会が増えるためです。また、実際の売買では、損切りの値段で売れずに損が広がることもあります。この比較は、あくまで過去のデータでの結果です。
実際に使うときの考え方
損切りの方法を選ぶときは、平均損益だけでなく、1回あたりの負けの大きさや保有日数も合わせて見るのが一般的です。浅い損切りは負けが小さい代わりに回数が増え、深い損切りは負けが大きい代わりに持ち続けやすくなります。ご自身の資金や取引の頻度に合うかどうかも、考える材料になります。
※出典:運営者のバックテスト(型別の比較、ルール別の比較)。期間は2024年10月〜2026年9月、往復0.3%の取引コストを差し引いた数字です。この記事は過去のデータで売買ルールを試した結果であり、将来の成績を保証するものではありません。特定の銘柄の売買をすすめるものではなく、投資の判断はご自身の責任で行ってください。